桃始笑(ももはじめてさく)
2025年3月10日 06時54分3月10日~14日、七十二候の第八候の季節(略本暦による呼び名)です。啓蟄の次候となり、桃の花が咲き始める頃を表現しています。昔は花が咲くことを「笑う」と表現していました。俳句で「山笑う」は山の草花が芽吹いて賑やかになる様子を表す春の季語です。桃の花や枝ぶりをみると、素直さ、無邪気さを感じます。梅のような品格はなく、桜のような豪華さもないけれど、とびっきりの笑顔のような愛らしさがあります。
花は「ほころぶ」と表現することもありますが、「ほころぶ」という言葉は内側に隠れさていたものが突然、外に顕れることをさしています。つぼみに溜めていた力が一気に外側に放出されるのが「ほころぶ」という現象で、春の鳥が静寂を破ってさえずることも、ほころびです。花をみるとき、人の顔にも自然に笑みが浮かんでいます。内側に湧いた感情が隠しきれずに自然にこぼれてしまうとき、人は笑うようです。春の芽吹きのように物事が一斉に動いていく時期です。