大晦日 定めなき世の 定めかな
2024年12月31日 07時00分「定めのない無常な世の中で、大晦日だけは定めがあることだなあ」という意。作者の井原西鶴さんは『世間胸算用』などで知られ、江戸時代の浮世草子や人形浄瑠璃の作者です。『世間胸算用』は、「大晦日」を舞台に、借金を取り立てる側と、何とか払わずに逃げ切りたい借り手との間の、悲喜こもごものドラマが描かれており、「定め」とは一年の総決算日、掛け買いの代金を支払う「定め」の日のことだと分かります。町人をはじめ、問屋、金貸、掛け買いのできない裏長屋まで、大晦日のやりくりが面白く描かれています。深刻な経済生活と現実の厳しさ、状況の緊迫感にもかかわらず、何とか対応しながら生きぬく庶民のユーモアが私たちへのメッセージになっています。給付金や助成金等の救済制度がない中、当時の人たちは「迷惑かけて、ありがとう」の精神で、「お互い様の気持ち」を忘れず、生きようとしていたのでした。毎朝10分間、朝の読書で培った“集中力”は、定期考査や検定試験突破などの読解力に確実に結びついてきました。今年の総決算は、あなたの好きな本を読み、タイムトリップ(時間旅行)してみませんか。